1994年に設立されて以来、ドーン財団は組織の形態は様々に変化してきました。今は、規模も小さい一般財団法人として事業運営に取り組んでいますが、その理念の核になる想いは変わらず、男女共同参画を啓発推進していくための事業を展開してきました。

ここ数年は、コロナ感染症対策など想定を超える社会的課題や環境変化の波を受け、集合型講座の企画運営は課題も多く厳しい運営が続いています。一方、デジタル配信が一般化する中で、広域的に事業参加者が集まるなど、ドーン財団からの発信がより広く全国に知られるようになってきました。共感を育むためには、やはり、小グループであっても、対面での理解、分かち合いの場、が効果的であり、集える場づくりの大切さを改めて感じています。

自主事業は、多くの皆様からの、「賛助会」や「はなみずき募金」として、ご寄附いただいた財源を運用し、小規模ながらも「支え・応援する」事業や「未来を育てる」事業などを、理念を継承する大切な事業として継続しています。また、蓄積してきた専門性が発揮できる受託事業も、組織運営のために拡充していく必要があります。

男女共同参画の推進が、日常の社会活動の中に定着していくように、労働と生活が両立できる<実質的な平等>の実現のためにも、ドーン財団の活動をより多くの皆様にご理解いただき、支援の輪をさらに広げていくことが大切であると考えています。

一般財団法人大阪府男女共同参画推進財団

                        代表理事・常務理事 燒野嘉津人

 

国連が女性の地位向上を目指して設定した国際女性年(1975年)から半世紀近くの時が過ぎました。生物学的性差とは別に、社会的・文化的に作られた性差を指す「ジェンダー」という言葉も広く理解されるようになり、多くの分野で男女の平等を進める取り組みが続いています。

各界での女性の活躍、法律・制度面の整備などに着目し、昨今、「女性はもう十分に強くなった」といった見方がされることがあります。しかし現実は違うことを、各種データは冷徹に示しています。国際機関「世界経済フォーラム」が各国のデータをもとに男女格差の現状を評価する「ジェンダーギャップ指数」をみると、2023年、日本の総合順位は146カ国中125位と、過去最低になりました。少女、女性に対する差別や暴力の実態も、いまだ深刻です。

ドーン財団はこれまで、さまざまな啓発・相談・情報提供活動を通して、国、自治体、企業、NPOなどの活動団体、そして市民をつなぐ「中間支援」の取り組みを続けてきました。人々が出会い、知見を分かち合い、支え合う、そんな「場」をつくることこそが、目標達成への力になると信じるからです。

「ジェンダー平等」は今、国連の「持続可能な開発目標(SDGs)」の重要な目標の一つになっています。さらに近年は、性別カテゴリーのとらえ方そのものを問い直す動きも出てきました。ドーン財団は、そうした認識にも目を向けています。私たちがジェンダー平等の向こうに望むのは、誰もが対等な立場で、あらゆる分野に参加・参画し、ともに未来を創造していける、そんな社会です。砂地に新鮮な水をたゆみなく注ぐことで、多彩な草花が生き生きと育つ豊かな土地が生まれるように――。小さくても、私たちはそのような仕事をしたいと願っています。

一般財団法人大阪府男女共同参画推進財団

                        特任理事 畑 律江