不妊専門相談センター 

男性のみなさまへ
[2014.03.25掲載]


■不妊の原因は男女半々…二人で受診を


長年、不妊は女性側に原因があるとされ、女性の問題と考えられてきました。しかし、近年の研究では、不妊の原因は男女共に同じくらいの確率があることがわかってきています。そのため、不妊治療を受けるかどうか検討するにあたっては、二人で受診し、男性も検査を受けることが大変重要です。原因不明の場合も少なくありませんが、できるだけ男女同時に検査をスタートさせ、正確な原因究明を行うことが、治療の早道です。

■不妊と向き合うには、二人の協力が欠かせません


しかしながら、女性だけが検査を受け、治療を続ける習慣が今も残り、検査や治療を受ける男性は少ないのが現状です。男性にも不妊の原因があるということや男性側にどのような原因があるのかあまり知られていないため、性交ができていれば男性側に問題があるとは思いもよらないのかもしれません。
また、「もしかしたら不妊かもしれない」と最初に考えるのはたいてい女性です。妊娠しない理由を知りたい女性が先に検査を受け、男性も検査を受ける必要を知ったとしても、パートナーの男性に「検査を受けて」とは切り出しにくく、女性側に原因が見つからない場合はなおさらです。こうして、男性が検査を受けるまでに時間を要することで不妊原因の特定が遅れ、不適切な治療が繰り返されている可能性が指摘されています。
男性にとって婦人科を受診するのはかなり抵抗感があるものです。そのような場合は、不妊専門クリニックや、泌尿器科でも男性不妊を扱っているところがあるため、そうしたところを受診するのも一案です
女性は年齢を重ねると妊娠が難しくなっていくのが現実です。時間とともに生殖可能年齢を意識して焦りを感じる女性の思いとからだの仕組みを理解し、二人の問題として、二人が協力して不妊に向き合うことがとても大切です。

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■二人で治療に向き合えない場合も…


一方が不妊を解決しようと一生懸命なのに、他方は楽観的あるいは消極的というカップルは少なくありません。特に、女性だけが受診している場合、治療の経過とともに二人の距離が離れてしまい、治療や子どもに対する気持ちの温度差によって感情をぶつけ合い、ともに傷ついてしまうこともあります。 治療が進むにつれて、女性は治療優先の生活になりがちです。パートナーの男性に関わってほしいと思いながらも、「仕事を休んでまで受診してもらうのは心苦しい」と遠慮したり、「どうせわかってくれない」と最初からあきらめていて、話し合えていないケースもあります。 男性は「そのうちできるよ」と楽観的なことがありますが、それがいたわりや励ましの気持ちからの言葉であっても、女性にはそうした言葉や態度が、「夫は不妊を自分のことと思っていない」と映ることがあります。女性まかせにしている男性の場合には、女性がどのような治療を受け、それによってどのような思いをしているのかを知らない場合がありますし、治療内容や治療の成功率についての情報を把握しておらず、治療すれば妊娠できるものと思っていることもあります。 男性の中には、「産むのは女性」「治療を受けているのは女性」という理由から、治療の最終的な選択権は女性にある、つまり「自分はあれこれ口を出さないほうがいいのでは」と考える人もいます。また、「プレッシャーはかけたくないので、口出ししない」という思いの人もいますし、そうした態度をむしろ「ありがたかった」と話す女性がいるのも事実です。 しかし、そうすることで、女性だけに治療の選択がゆだねられ、負担がのしかかることになり、治療の選択やステップアップについても全て自分で決めていかなくてはならなくなり、女性は自分にまかされているだけにさらにつらくなります。 不妊への向き合い方はカップルによってそれぞれですが、「二人のことなのだから一緒に向き合ってほしい」「主体者として取り組んでほしい」と考える女性は少なくありません。二人で不妊に向き合うためにも、男性が不妊や不妊治療の知識を持つことはとても重要です。具体的な治療内容や治療方法について知ることで、今後の治療について一緒に考え相談できるようになったり、治療が女性にとってどれだけ大変なのかを知ることで、パートナーの女性を思いやる言葉をかけることができるようになります。

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■男性の悩み


不妊が女性の問題と考えられてきたこと、原因が男女どちらにあるにしても治療の主体が女性であることなどから、不妊相談には女性からの相談が圧倒的多数を占めています。男性はあまり弱みを見せないものだ、多くを語るものではないなどの意識が、相談することをためらわせているのかもしれません。そのため、女性の悩みについてはある程度明らかになっていますが、男性の悩みについてはあまり明らかにされていないのが実情です。
以下に、男性の悩みの一旦をご紹介します。

●精子に問題があると診断されショック
精子に大きな問題があると診断された男性のほとんどが「驚いて頭が真っ白になった」といいます。「生殖不能者という烙印を押されたようでショックだった」「妻から離婚を言い渡されるかもしれない」など、不妊という事実に傷つきます。
一般的に男性は、女性よりも検査を受けたがらない傾向にあります。精子の所見と性的能力はまったく関係がないにもかかわらず、原因が自分にあった場合、それを性的能力と結び付けがちだからです。検査を受けて男性不妊とわかった場合、自信を失って勃起障害(ED)になるケースも少なくありません。

●病院での採精による心理的苦痛
人工授精や体外受精のために、病院で精液採取を繰り返し行うことで、不安や屈辱を感じ勃起障害(ED)になる場合もあります。

●性交時期や禁欲期間を決められる苦痛
排卵日に合わせた性交タイミング指導が始まると、これまでのような自然な性交渉ができなくなるケースが多く報告されています。性交時期や禁欲期間が決められるなど二人の最もプラーベートな空間に第三者が侵入し、「排卵期だけ」「子づくりが目的」といった雰囲気となることで、排卵日になると性交がうまくできなくなる男性がしばしばいます。そのようなことが長い期間続くと、やがてセックスレスを招くこともあります。
性交タイミング指導がプレッシャーになる場合は、子どもをつくることも性交の目的の1つですが、二人の楽しみであり、関係性をよりよくするためのものであることを、二人で話し合ってみるのもよいでしょう。性交に限らずふれあう時間を大切にし、「あなたを大切に思っている」というメッセージを、ときには言葉や態度で表現することも大切です。

●建設的な話し合いができなくなる
カップルであっても、不妊というデリケートな問題であるだけに、お互いが率直に思いを伝えきれないこともあります。互いの気持ちを推しはかるがゆえに、何も話せなくなってしまうカップルもいます。こうして、不妊の話題を持ち出すたびに二人の雰囲気がギクシャクし、やがてこの話題そのものがタブーになり、本質的・建設的な話し合いができなくなってしまうこともあります。
女性が不妊や不妊治療の悩みを一番わかってほしいのはパートナーです。パートナーだからこそ行き場のない怒りや悲しみなどの感情をぶつけてしまうこともありますが、「気持ちを聴き合う」ことも大切です。

●妻に申し訳ない、妻のからだが心配
治療によって女性がどのような体験をしているのかを知る場合には、妻の身体的心理的負担を心配し、申し訳なさを感じている場合もあります。

●二人の楽しみを後回しにしてしまう
生活の中のいろいろな楽しみや目標を「子どもができるまで」と後回しにし、生活のすべてを「治療優先」にしてしまうカップルもいます。女性が「治療一筋」になってしまい、男性がその気持ちについていけないこともあります。治療一筋の生活にせず、二人の共通の楽しみや時間を持つようにすると、不妊や不妊治療のつらさも、少し楽になります。

●社会の偏見・圧力・プレッシャー
「子どものころからいつかは母親になると思っていた」と語る女性が多いように、「いつか父親になると思っていた」という男性も少なくありません。「男は家族をもって一人前」という社会通念も根強くあります。また、「ちゃんとやっているのか」「つくり方知らないんじゃないか」など、性的な詮索やからかい(セクシャル・ハラスメント)の対象となり、不快な思いをすることもしばしばあります。

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【引用・参考文献】
1)久保春海他(2006):不妊相談のためのマニュアル、不妊に対する理解と支援のための普及事業 事業委員会 2)聖路加看護大学&フィンレージの会(2008):My Dear あなたの身近な人が不妊で悩んでいたら、聖路加看護大学21世紀COEプログラム Women-Centered Care 不妊ケアプロジェクト
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