一般財団法人 大阪府男女共同参画推進財団

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理事長ご挨拶

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「#MeToo」と「ブラックボックス」

 

 皆様、こんにちは。平成30年度の開始にあたりまして、ご挨拶申し上げます。


 平成29年に印象に残った出来事は、まず、「#MeToo」のムーブメントでした。ハリウッドの女優が発信した「#MeToo」の波は、ほとんど時間差なく日本にも到着し、さまざまな形でセクハラ被害を訴える人が続きました。
 平成30年1月21日付けの朝日新聞の特集には、20代の女性の投稿が掲載されました。新卒で入ったIT企業に勤めていたころ、取引先の社長と管理部長らと飲んだ際、社長の隣に座らされ、本人がわざと太もも付近にこぼした飲み物を拭くよう、遠まわしに強要されたこと、今になってセクハラだったんだと分かるようになったが、当時、それが分かっても抗議できたかと言われると難しかったと思う、という内容でした。そんなに遠い昔の出来事ではありません。
 男女雇用期間均等法にセクハラ防止規定が入ったのは、平成11年ですが、女性を取り巻く職場環境は、法律の制定以前とあまり変わっていないのではないかと思わせるショッキングな内容でした。


 話は飛びますが、以前、NHKテレビで、第二次世界大戦の終戦間際、中国に残されていた開拓団の女性が、押し寄せてきたロシア軍から開拓団の人の命を守るため、ロシア軍の軍人を相手に、性的な「接待」を強いられたというドキュメンタリーを見ました。
 時代も背景も人物も異なる二つの出来事ですが、私の頭の中では、二つは、女性の「性的利用」「性的搾取」という共通項で重なり、つながっていきました。力のあるものが、力のないものの性を奪い、利用する。これは性暴力です。
 やはり昨年のこと、伊藤詩織さんという人は、実名でレイプを告発し、「ブラックボックス」(文藝春秋)という本を書かれました。伊藤さんは、担当検事から、密室の出来事であり、「ブラックボックス」だ、と言われたそうです。当事者としてジャーナリストとして、この「ブラックボックス」にいかに光を当てるかに集中してきたが、箱を開こうとすればするほど、日本の捜査や司法のシステムの中に、新たなブラックボックスをみつけることになったと書いています。
 セクハラも性暴力も、人の魂を傷つけます。やっと、沈黙しなくてよい、告発していいんだという波が生まれました。ですが、告発した先が「ブラックボックス」では全く救われません。


 国は、第4次男女共同参画基本計画において、行政が関与する性犯罪・性暴力被害者のためのワンストップ支援センターを平成32年までに各都道府県に最低1ヶ所設置するという目標をあげています。被害から時間をおかずに、安心して相談でき、医療的、心理的ケアを受けられるようなセンターが全国に設置され、証拠も早期に保存されるようになれば、ブラックボックスに少しでも光を当てることは可能になるでしょう。


 昨年度、当財団は内閣府の「性犯罪被害者支援等体制整備促進事業」をはじめとした事業を受託しました。これらの事業を通じて、少しでも性暴力防止、被害者支援に役立つよう取り組んでまいります。どうかよろしくお願い申し上げます。                               

平成30(2018)年4月1日

一般財団法人大阪府男女共同参画推進財団 理事長
弁護士                    .
 段 林  和 江               .